【※ネタバレ注意!漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』単行本収録分/公式ファンブック1・2/作者Twitter発信情報】
前→【吸死考】ロナルドの運転は荒いのか?-①
ヒヤヒヤって何さ
若造の運転はちゃんとしてた、っていうのは前提とします。先生のツイートもありますしね。荒くもなかったし、危なくもなかった。
ここで話すのは
「荒くも危なくもない運転でどうして「ヒヤヒヤ」して、「荒い」と騒ぐほど死んだのか?」
これです。
というか、「丁寧な筈の自動車の運転」でヒヤヒヤするような感性してたっけ?というのはちょっと……思いますね。まず。
だってこの吸血鬼、80死でモーターボートに乗ってメチャメチャ楽しそうに鍋持ったりとか、してますし……。「海=流水」なのはもちろん、死にやすいドラルクは水中で塵が流されると不味いはず。その海の上でモーターボートって結構揺れるけど……?
それで平気なら車なんて揺り椅子みたいなモンじゃなかろうか。急に横転する訳でもあるまいし。
150死で飛翔パパに乗って駆けつけた際も、疲弊した様子なかったんですよね。車よりよっぽど速い吸血鬼の飛行で何とも思ってない。
やっぱりどうも、ピンとこないですね。
更に言うと、254死でカメ谷たちと深々山のホテルに行った時もロナルドが運転していましたが、あの場面ではさっぱり全く緊張も何もないですし。
セロリで運転の邪魔までするくらいで。
というかあの高速回転しといて事故らないって物凄い運転能力高くないです?
ドラルクもそれをわかっててフザけてる感じで……
とんでもなくお気楽です。
若造の運転能力を全く疑っていない。
運転中ずっとヒヤヒヤした経験のある身とは思えない。
なあ……ドラルク……。
君は本当に、若造の運転を荒いと思っていたのか……?
なんか。
もうこれ、逆じゃないかと思います。
「運転が荒いから度々死んで、ずっと緊張していた」んじゃなくて、
「ずっと緊張していたから度々死んで、運転が荒いってことにした」のでは?
若造のせいなら
そもそもドラルクってあの時、なんか自分から死のうとしてたじゃないですか。
ウッ 我が家の恥部を…
おい若造 何笑ってる
ビンタして死ぬぞ
━「吸血鬼すぐ死ぬ」12巻/145死
ここのセリフ、家族のすったもんだをロナルドやヒナイチに見られてしまって、恥ずかしかったからって話ですよね?「恥部を…」て言っていることだし。
こういう「親の恥ずかしいところを見てしまって、見られてしまって、恥で死ぬ」ていうの、196死ドラウスヌーチューバー回とかでもあったと思いますが…。
あの時はビンタ反作用死もしてません。
ドラウスの奇行動画→死。
ドラウスの奇行動画→ドラルクの実父と知られる→死。
そうです。
前からわかってたことではありますが、ドラルクは「恥ずかしさ」だけで死ねる。
言葉通りなら145死のラストも、ドラルクは「恥ずかしさ」だけで死ぬとこだった筈です。
ヌーチューバー回と似た種のダメージですから。
けど、敢えてビンタして死にたがった。
わかる。
わかるぞ……ドラルク。
恥ずかしい時って、「あ、今こいつ物凄く恥ずかしいって思ってるんだ」て悟られると余計恥ずかしくなっちゃうよな。
そんな時は逆に「いやー恥ずかしい!ハハハ!」と……自ら申告して、「言及出来るくらいには冷静な風」に繕ったりするんだ。人って。
吸血鬼もそうなんだね。
あそこでビンタ反作用死したかったの、それでしょ。
……たぶん、
「恥ずかしさだけで死ぬほど」だと知られたくなかったんだろうな……。
無言で死んじゃうくらいの大ダメージだと悟られるくらいなら、
自分で「恥」だと言ってみせて、キレつつ若造にビンタして反作用で死んだことにした方が、軽傷だから。
精神ダメージ
145死のドラルクは、もう本当に色々、精神的にダメージを喰らってたと思います。
母の暴走、それに怒る自分、そして父がやってきた直後の夫婦の空気……そういう親の恥ずかしいところを見ちゃった、見られちゃった、というのも有りますし。
その直前の「お友達だもん」が絶対聞こえてた距離で「お友達」が登場してるのも有りますし。
記憶が混濁する中、自分が無意識に「ロナルドくんたち」に写真を送っていて?
それを頼りにレンタカー借りて新横から埼玉まで追いかけてきてくれて?
「お友達」と日常を感じさせる会話をしたら記憶が戻って?
この砂おじさん、144死で若造たち側から言われてやっと、「若造たちへの好感」の断片を発するか発さないかというところだったんですけどねぇ。
145死では、だいぶ「お友達」を好きなのが、普通に本人たちに伝わっちゃった感じです……。
不本意に一足飛びに心を暴かれたというか。
催眠耐性、ありますからね。ドラルクって。
「自分だけはそんなことにならんだろ」って気分だったかもしれないですよね。
こっそり書いてた自伝読まれたのも恥ギレしてましたし(138死)……普段想定してない分、無理やり心の内側を暴かれるの、メチャメチャ堪える方なんじゃないかな…。
中でもキツいのは、普段煽って遊んでる対象のロナルドに一方的に「笑う余裕」が有ったことでしょうか。
終始振り回されてばっかりで訳わかんないまま事態が進んでたドラルクと違って、ロナルド側は「連れ戻すぞ」ってしっかり覚悟決めて、ぜ〜〜んぶ承知の上で行動してきてるので。
心の準備が違うというか……。
おい若造 何笑ってる
ビンタして死ぬぞ
━「吸血鬼すぐ死ぬ」12巻/145死
そこの温度差が、「おい若造 何笑ってる」て言葉に出ている。
ドラルクは訳わからんやら恥ずかしいやらで動揺しているのに、
ロナルドは何もかもとっくに承知で、なんかわからんが笑っている。
この上、「あまりにも精神的乱れが凄すぎて道中なんでもないところで死にまくってた」なんて……
知られたら余計『無理』じゃないですか?
だったらもう、死因を誤認させるしかなくないですか?
含まれる真実
「ビンタして死ぬぞ」には、「恥だけで死ぬ、という恥ずかしさ」を隠そうとする心理があるんじゃないかという話はしました。
「恥ずかしさの精神ダメージで死んだ」じゃなくて、
「若造をビンタした物理ダメージで死んだ」ってことにしたかったと。
・ロナルドさんが運転する車に乗ったことがあるそうですが、乗り心地は?
荒いんだよ、あいつの運転!集中力なさそうだからドラちゃんヒヤヒヤしどおしであった。シートベルトって死ぬととれちゃうから不便だよね。
━吸血鬼すぐ死ぬ公式ファンブック週刊バンパイアハンター特別創刊号2
↑のセリフで同じ見方をしますと、こうです。
「ロナルドの運転が荒い、危ないという物理ダメージ」と誤認させようとしているが、
「ドラルク自身の内側からくる精神ダメージ」が本当の死因だった……
「若造の運転」に問題がないことくらい、車経験の浅〜いドラルクにもなんとなくわかっていたけれど、わざと「若造のせい」にした。。
そうすれば、254死であんなにお気楽に「運転中の若造にセロリアタック☆」してた謎が解けます。
コレが「ドラルクの評がどれだけ信頼できるか」を考える為の2つ目のポイント。
「わざわざ嘘をつく動機があるか?」
という観点です。
「え!?じゃあ結局ドラルクのウソだったってこと?」
と愕然としてしまう方もいるかもしれないんですけど、待って。
そうじゃないんです、待って……。
例えこの解釈で進めるとしても、ドラルクが誤魔化したのはあくまでも、「死因」だけ。
「ロナルドの運転スキル」以外の
「死んでシートベルトが取れた」とか
「ヒヤヒヤしどおし」とか
「集中力なさそう、と思った」とか……
その辺りは丸っきり嘘ではないし。
「嘘がつきづらい要素」なので、真実がどうしても混入してしまっていると思います。
本人的には、大嘘つきたかったかもしれないですが。無理です。
まず「死んだ」か「死んでない」かは、その場にいるロナルド、ヒナイチ、ジョンが見ているので嘘だと即バレます。
よって「車の走行中に度々死んだ」のは事実。
次、「ヒヤヒヤしどおし」については……本人の内心の話なんですが、
もしも「実は全く何の心配もなくグッスリ寝こけていた」…とかだったら流石に周りから見て「嘘じゃん」となります。
よって乗車中、終始「気の抜けない精神状態だった」…くらいは事実でしょう。
次、「集中力なさそう」。これも本人の感想なのでどうとでも言えそうですが、
これを言うためにクリアしてないといけない条件がありますね。
それは、「ロナルドの運転する様子を見ていたこと」。
車窓の景色とかをずっと見ていたのに、運転手に対して「集中力なさそう」とは中々言えないですから。
ヒナイチやジョンのような第三者の視点があると余計、「見てなかったもの」を「見てた」ってことにするのは難しそうです。
ロナルドの振る舞いが、果たして「集中力なさそう」に見えたか?という部分は、それぞれの感性によるところなので、まあ置いておきましょう。
まとめます。
ドラルクの「荒いんだよ!」発言の中から抽出できる「事実らしきもの」は……
『車の走行中、ドラルクはずっと「ロナルドの運転する様子」を見ていて、
終始「気の抜けない精神状態」だった。
そして度々、意味不明なタイミングで死んで、シートベルトが外れたりした』
という感じですね!
上の「気の抜けない精神状態」ってやつが、前項で書いた「本来の死因」の精神ダメージと考えるのが自然ですかねぇ…。
精神ダメージの具体的な内容については前項でも書きましたが……まあそれに限らず「色々」だろうと思います。
親のこともあるでしょうし、自分の振る舞いもあるでしょうし、周りとの認識の差とか、騒動後特有の変な高揚感とか、そのくせ普段通りの会話をする違和感、揚げていくとキリがなさそうなので、ここらでやめときますが……
とにかく彼は、普段通りの精神状態じゃなかったんでしょう。
自覚も有った。自覚しやすい変化…心拍が乱れてたりしたのかな。
それが、本人のいう「ヒヤヒヤ」の正体で。
その「ヒヤヒヤ」こそが、本来の死因!
なんじゃないですかね!
つまりこうだ
さて、本来のマシュマロのご質問にちゃんと戻りましょう。
FB2でロ君の運転を「荒いんだよ」と評したドさんに対して、先生は「若造は運転ちゃんとしています」とのツイート。この差はどこから来たのでしょうか。
「ドラルクの見解」と「盆ノ木先生のツイート」に差異が出たのは、
ドラルクが発言の一部に「誤魔化し」を含めていたから。
だと思います。
ロナルドは道交法をちゃんと守って、自分のトラウマを刺激しない、安全な運転を心がけていたはずです。
行きと違って、死にやすい砂も乗せていることですしね。
事務所へ帰る際、ドラルクは車のシートの上で度々死にましたが、
それはロナルドの運転のせいではなかった。
それについては、ドラルク本人もなんとなく承知していました。
帰りつくまで、ずっとロナルドが運転する様子を見ていましたし……
その間、終始自分が思わず死んでしまうほど動揺していて、普段の精神状態でない自覚があった為です。
ロナルドが悪くないのは分かっていましたが……ドラルクは、車中で延々と死に続けるほど感情が乱れているのを悟られたくありませんでした。
その為、一括で「ロナルドの運転が荒いから」ということにした訳です。
そしてその死因誤認トリックは成功。
ロナルドは別に「荒い運転」をしているつもりはありませんでしたが、『雑魚だから凄い死ぬんだな』的解釈をしてくれました。
(「あいつ殺さない運転コップの水をこぼさねえでカーブするより難しいって」)
ですがドラルクはうっかり。
カメ谷の企画に便乗し小旅行するのに浮かれて「セロリサンドジョンアタック」をやったりし、
「自分が若造の運転に何の恐怖も緊張も抱いていないこと」を(読者視点で)露見してしまいました!
ついでに、若造の運転能力の高さも露見しました。
けれど、ロナルドの方はその矛盾に気が付く気配はないようです。
もうこうなってしまっては、ドラルクが「実は……」と言い出さない限り、ロナルドが「あの時の死因」について何かを察することはないのかもしれない……。
というのが、今のところの私の解釈になります!
マロ主さんが解釈する際、参考になるところがあれば幸いです。
あ〜☺️
質問していただけると、答えながら気づくところもあり、やはり楽しいですね。
よかったらまた話しかけてください〜。
マロありがとうございました!