考察キッチン

KOUSATSU-KITCHEN

【吸死考】三木カナエif『mob』note、神在月シンジが居た場所?


失敗しないと正解できない。三木さんの正解、超難問だ……。


※この記事は週刊少年チャンピオンで連載中の漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』(著:盆ノ木至)の考察記事であり当該作のネタバレを多分に含みます。

※最新コミックスまでの内容の他、原作者・公式SNSで過去発信された情報に触れる可能性があります。ご注意ください。






今回は盆ノ木至先生がnoteに投稿された『mob』についてのマシュマロをいただきましたので、それに回答していきます。

『mob』とは

まずは、『mob』を把握していない方もいるかもしれないので説明します。
盆ノ木先生のnote(sns)の投稿のひとつに『mob』と題されたものがあるので、その話です。
読んでいない方は、以下↓からどうぞ。

note.com

吸死の隠れミッキー的な存在、色んなバイトを掛け持ちし、あらゆる所に現れる、という設定の「三木カナエ」というモブキャラのif エピソードです。
本編のようなギャグではなく、ちょっと鬱々とした雰囲気があるので、苦手な方は要注意です。


今回はこの『mob』の中の記述に関するマロです!


マシュマロ本文

こんばんは、例の📓を読んでぐちゃぐちゃになったオタクです 毎晩本編のルート分岐を考えてはその凄惨さにゾッとしています
さて例の📓を読んでいて気になる部分がありました
神在🌙先生の言う「駅で作画する羽目になった」の『駅』、貴方様はどうお考えですか?
①ただの無人駅
②無力化済の吸血鬼裏新横浜
③まだ現役バリバリの吸血鬼裏新横浜
④その他

https://marshmallow-qa.com/zarame94nu


マロありがとうございます!
『mob』noteホント凄かったですよね。さて主題は…と思ったら選択肢が用意されている…!?

選択肢の内容から見ると……
もしかしてマロ主さんは「mob世界線はどれだけ本編と共通点のある世界か」って話を意識していらっしゃるんでしょうか。

そこをどう解釈するかで答えが変わります。

例えばオータムの社風に少し違いがあったり、フクマさんがいなかったりするなら、①のような可能性は高まります。
フクマさんの亜空間移動がなければ、裏新横浜をオータムが執筆室として使うことはできません。
三木さんの人生以外の部分にどれくらい違いがあるのかが鍵、ということです。


分岐次第で本編へ


『mob』note公開直後はその辺ヒントが少なかったですが、追加noteの『mob ネタバレ有り 分岐』で「分岐条件の公開」がありました。
それが以下です。↓

・退治人を始めたての時、吸血鬼にやられて首に大きな怪我を負う
・神在月の漫画を見せてもらい、彼の背中を押す一因になる アイジャ飯にムツが登場する
・祖母が倒れる日に家にいる
・弟に今まで本当にありがとう、それとこれとは話が別だ僕はもう大人だし仕送りは大丈夫だって言ってるだろむしろ自分を労われ兄ちゃんのバカヤローパンチを喰らい、仕送りを止めて祖母の施設代を折半する(ファンブックから情報更新)
・補助金の出るマンションに住む
・トラックを追う時、周囲に救助に加わってくれる人がいる

ワーカホリックは治らないが、仕事好きのワーカホリックくらいまでに落ち着く
━『mob ネタバレ有り 分岐』/盆|note

note.com


本編ではないifであること。
そして、分岐条件さえそろえば「本編」と同様の流れになること。

これを考えると……個人的には、「②無力化済の吸血鬼裏新横浜」ですかね。

三木さんがどういう人生をおくるかで、
「ロナルドが裏新横浜に捕まり、それを追ったフクマさんに発見される」
という部分が変わったりするとは考えにくいですし……

その辺りは分岐条件として上がっていませんから、本編と同じと考えていいのかな、と、現状では。


あと、こっちの方が根拠としては大きいのですが、
本編の時系列で言うと何処なのか、という情報として「駅」の会話を差し込んでいるんじゃないかと思うんです。
この会話は少なくとも184死の時系列よりは後だ、というサイン。


本編184死では

フクマさんがロナルドを追って裏新横浜を発見
 ↓
それ以降オータムのカンヅメ執筆場所になってしまう
 ↓
フクマさんの亜空間に便乗しクワバラさんも利用する

という流れでした。
その時のコマに神在月先生が抱えられて連れてこられる様子があります。
全く同じでないにしても、タイミング的にこの辺、と……。


ただ、だとするとmob神在月先生の話ぶりがちょっと妙だな…?とは思います。

たまにすごいことするよ

「駅で作画する羽目になって大変だったよ、駅だよ駅。クワさんもたまにすごいことするよ」

━『mob』/盆|note

「駅で原稿する」を「たまにすごいことする」と称しているからです。
正直、本編オータムの修羅の国ぶりを見ていると「駅で原稿」くらいは命の危機がない分かなりマシな部類って気がしてきませんかね…。

吸血鬼の結界で自力脱出不能だとしても、コロッケにされたりBBQにされるよりは、吸血鬼駅の方が安全(?)です。

相対的に言うと、すごくはない
まあ、普通に自室で原稿してるだけの漫画家からしたら、駅で作画するだけで「すごいこと」でしょうが……。

もしかするとmob神在月先生はあまり酷く締め切りを破る癖がないのかもしれません。だから危険な執筆室を利用する機会がなくて、せいぜい「静かな環境でカンヅメさせられる」くらい、ということ……?

もしくは、三木さん相手に特に隠している可能性もあります。


とにかく「オータムの実態」と神在月先生の言葉は明確に食い違っているんです。
その要因として、本編とmobでは、神在月先生に「なんらかの違い」があるんだと思います。

そういうつもりでmobの描写を見ていくと、神在月先生に関する部分に特に「違和感」があるのがわかる。

神在月との通話には、色々な人間の話が交じるようになった。
宇勇の話だけではなくなった。
相手は間違いなく神在月なのに、別人と喋っているような錯覚がした。
━『mob』/盆|note

本編神在月先生は「宇勇の話だけではなくなった」……ということはありません。
157死でナギリが初めて神在月のアシスタントをやる訳ですが、ここでも宇勇が話題に登っていますし。

好きなSFなに?
ぼく”宇宙勇者サーガ”

━『吸血鬼すぐ死ぬ 13』157死

302死でも「カンタロウさん 好きなSFは?」と話を振ります。157死の「宇勇」の話題の切り出し方と同じです。この時にカンタロウが何も言わなければ、宇勇の話が始まったことでしょう……。

やっぱり本編では、何かにつけて宇勇宇勇
本編の性格を踏襲しているであろうアカジャの神在月も、13巻アカジャ16巻アカジャの締めセリフ19巻アカジャプラチナ編2020年ホワイトデーお返事など、「宇勇好き」が滲む振る舞いが盛り沢山。
そしてそれは『mob』に描かれている学生の頃と変わりません

でもmobの神在月はそこから「宇勇の話だけではなくなる」んですよね。
他にも、表情に自信が出てきたり、声に芯が通ってきたり。

本編でナギリに情けなく泣きついて「ふざけるな」と怒られている姿は、中々そういう表現と一致しません……。
「俺はゴミ虫だーッ」って叫びますし。(157死)

三木さんの言う「神在月なのに、別人と喋っているような錯覚がした」というのは、三木さんの主観だけの話ではない。
実際そういう振る舞いになっているんでしょう。

少なくとも三木さんの前では、神在月シンジの人格に劇的な変化があったんです。
本編神在月先生には起きなかった変化が。



三木さんの分岐の影響で、


「本編よりも隙のない自立をしてしまう」


というパターンになっているのかな、と思います。


弟ノゾミくんも、本編世界線では祖母の施設の料金を兄と折半しているようですが、mob世界線では「俺に払わせてくれ」とノゾミ全額負担になりますし。その傾向が神在月先生にも当てはめられるんじゃないでしょうか。



鏡写し


mob三木カナエは、条件分岐にあった
「退治人を始めたての時、吸血鬼にやられて首に大きな怪我を負う」
を経ていません。


高い身体能力、器用な性質で、祖母の側にいる時間さえもなく金を稼ぎ続けていた。

確かに大成功はしませんでしたが、大失敗もありませんでした。mob三木カナエの労働ぶりには。
そう、彼には隙がなかった

だから、ノゾミや神在月にも隙がなくなってしまったのだとすれば……。

それは、以前から吸死で描かれてきた人間関係と「仕組み」が同じです。


完璧に見える


例えば『mob』の端端に出てきたレッドバレット

その弟ロナルドは「怪我を負わせてしまった罪悪感」のせいか、元来の単純さも合わさってか、「高潔で利他的で完璧なアニキ」という実際よりも美化した兄像を抱いていました。

あんたは…いつもそうやって…
一人で…抱え込んで……!!!

━『吸血鬼すぐ死ぬ 4』46死

兄が引退した。「自分が悪い」とロナルドは思った。それなのに少しも怒らず「俺の責任」としか言わない兄。
兄のようになりたかったのに、なんの責任も負わせて貰えない弱い自分


償いたい気持ちも、退治人になりたいも、兄に守られている立場では叶えることができません。


その悔しさから兄の元を離れ他の退治人に弟子入り。事務所まで構えてしまった
兄に頼らず「兄くらいすごい人」になりたかったのでしょう。そうしたら守られるばかりじゃなく、対等に責任をわけ合える


自分の事務所を持ち稼ぐようになったmobノゾミくんと辿る道が似ています
ノゾミくんは体が弱かったので兄の真似をそのまますることこそ現実的ではありませんでした。が、やりたかった。
「自分もバイトをする」と言っていた。兄と同じ責任を負いたかった

ロナルドと同じことを思っていたなら……ノゾミくんが目指したのだって、彼の中の兄像だったのではないでしょうか。
守られる立場を脱し対等となるには、「同じような存在」になるしかない。

「高潔で利他的で完璧な兄」……。


鏡写しなんです。

「自分が周囲からどう見えるか」ってことが、自分の周囲の人々に影響する。

相手に見せていた姿が、そのまま相手からのコミュニケーションとして帰ってくる」……。


そういえばミラさんとドラルクの仲も、これがきっかけでトラブルになりました。


必要ないと思われる


145死ミラさんはドラルクが離れていくことに焦り、不安になり、あの誘拐に及びましたが……。


先に
「遠く離れても愛する気持ちがあるが、それを伝えないままにしてしまう」
というコミュニケーションをしたのは、実はミラさんの方です。


父ドラウスから母ミラの思いについて知らされていたドラルクは、不安にこそなりませんでした
ですが「そばを離れる愛」を学んだ結果なのかジョンに対しても同じことをしましたし(56死)……シンヨコに移り住んだ以降も、ミラさんに気持ちを伝えるという発想もなく過ごしていました。


誘拐は本当にとんでもないことで、「ドラルクの為」という点から見れば大失敗でしたが、そんなとんでもないことがあったからドラルクは「気持ちを伝える必要がある」と思えたのです。


彼が「バカヤロー!」と怒れたのは、ミラさんに「バカヤロー!」と怒られるような駄目な部分があったお陰

あれがなかったら、いつまでもコミュニケーションは生まれなかった


本編に繋がる分岐でノゾミくんが「バカヤローパンチ」をする、というのも同じ理屈なんだと思います。

「大怪我する」という失敗をしたから、ノゾミくんの中で三木さんが「助けを必要としない完璧な兄」ではなくなって
殴ってでも自分が軌道修正しなきゃと思ったんでしょう。

でもmobではそれがなかった……。


すれ違いの掛け算


mobの三木兄弟って

ロナルドと兄ヒヨシの間にあったすれ違いと
ドラルクと母ミラの間にあったすれ違いが、

合わさって余計こじれたような関係というか……。
自分の行動が相手からの行動として返ってくる」という点を軸に、すれ違いが加速してしまっているんですよね。

兄カナエは、弟からは(ヒヨシのように)「完璧ですごい兄」に見えていた
(ミラのように)「相手の為」に一心不乱となり、自分の気持ちも相手の気持ちも、ちゃんと確認しないまま進んでいた。

弟ノゾミは「ロナルドのように悔しい思い」を持っていたのに「ドラルクのように弱かった」。
できることがない。ずっと、一方的に守られるだけ……。

三木さんは「弟に必要とされなくなること」が自分を無価値にする、そんな風に追い詰められていましたが、
弟こそ「助けを必要としない完璧な兄」「兄を助けるどころか迷惑さえかける無価値な自分」に思い詰めていた。


故に「兄の為」を思うなら、兄から自分が離れるべきだという結論に至ったのでしょう。


長い期間溜めてきたもどかしさ、悔しさが、ノゾミくんを「隙のない自立」へ導いたのです。

助けを必要としない兄だから、弟も助けを必要としない者になろうとする。
弟の意見を封じて一方的に「弟の為」と行動したから、弟も一方的に「兄の為」になると思うことをした。


鏡としての神在月



mob神在月が「隙のない自立」をしたとするなら……弟のことと、根本の原因は同じでしょう。

mob三木カナエが「完璧で隙がなかった」から、mob神在月も影響を受けてそうなった


mob神在月が自作漫画を見せられなかったのは「完成していないから」という理由でしたからね……。

まずここから変ですよね。

190死の「なんとなくドリーム」を見ると、友達に漫画を見せたのだって「なんとなく」、という印象があります。
それと比較すると、「完成してから見せたい」というのは、漫画への思いがより強くなっている。

絵を褒められたことからも、三木さんが自分の描いたものをバカにしないのは分かっていたはず

でも見せない。見せるなら、「完成した漫画」がいい。


mob三木さんが、「完成している姿」を見せていたからだ。


mob三木本人は、「レッドバレットぐらい華々しく活躍できれば」と自分の足りなさを意識しています。
でも自分の長所の身体能力を活かして、誰かの為に役立って仕事して、大きな失敗だってしていない

周りからみたら、「すごい」です。
一足先に自立して、大人になっているような。

唯一の友人がそんな風だから、神在月シンジも刺激されたのかもしれません。

自分のしたいこと、得意なことで、人の役に立って生活する。

神在月は、進学したって無意味だから、すぐ漫画家を目指したい、と言った。

━『mob』/盆|note


「卒業したら死ぬんじゃないか」と言われるような自分じゃなくて。

mob神在月先生は……
漫画を褒めてもらわずとも、「漫画家になれる」と言われずとも、自分で意思を固めました
誰に言われずとも、長所を生かして仕事をしている三木カナエ」の姿から、その意思を得たなら。


本編の「なんとなくドリーム(190死)」よりも、神在月の在り方に「情けなさ」がなくなっているのは必然だと思います。


自分一人で決めたから……努力の仕方に着実性が出て、基礎力がついて、ネームや作画のスピードが上がって。
危険な執筆室を利用する機会が少なくなった……かもしれません。

オータムの社風は何も変わらないと思うので、危険を感じる経験が一切ないというのも違う気がしますが……。
でも、もし危険なことがあろうとも、三木さんが知れば「助けよう」としてしまう
それを神在月先生はわかっていて、自分の意思で巻き込むまいとしていたのかも

本編では第一に巻き込む相手になっているようですけれどね……。




しかしこれだと……本編にしてもmobにしても、
結局、「三木カナエの言動をキッカケにした」ということになりますかね。

その結果が、これだけ違うものになる。
三木カナエの在り方で、神在月シンジの在り方が変わる


ムツ


本編神在月先生は、三木さんをオータムの地獄に真っ先に巻き込みます
でもmobを読んだあとだと、それが、三木さんへの理解が深い証拠という気もしますね……。

三木さんを完璧な人だと思ったままなら、「ムツ」は描けませんし。

【ムツ】ラクライのコアを狙う賞金稼ぎ崩れだったがラクライに危機を救われ、相棒兼専属お料理人に。お料理によってラクライのコアの力を引き出す事ができる。

━『吸血鬼すぐ死ぬ 23』289死柱

アイジャ飯回(289死)のムツは、一度主人公ラクライと敵対していたのに逆に危機を救われたという設定でした。ラクライに守られる場面もあります。決して完璧超人ではないんです。
でも、ラクライの為にどんな時にもサポートしようとする献身性を見せる。

金のために失敗するところも含め、このキャラ造形の塩梅……美化しすぎることもなく、三木カナエという人物に対する深い理解が窺えます。

289死を見る限り、ラクライは相棒として、ムツを危険に晒すことを受け入れているようです。でも自分の為に死んで良いとは思っていない。だから、自分にダメージを伴う手段を使ってでも守った……。

三木さんに必要なものがムツと同じなら……「一蓮托生で危険に晒すけど、意地でも死なせない」、神在月先生のコミュニケーションはドンピシャ正解なのかもしれません。

殺し屋忍者とナギリのことも「なんか」で正解を引いていたので(322死)、全てをわかってムツを、というと少し違うかもしれませんが。

本編では三木さんに、首元の大きな「失敗」の跡がありますからね。
だから、神在月先生は三木さんを「完璧」だとは思わなかったんでしょう。

「失敗しながら、頑張っている人物」だと思った。

三木さんが「完璧」でないから、自分の「完成していない漫画」を見せることができた

結果、神在月先生の中では「漫画家になりたい動機」が「友人の言葉」を土台にしたぼんやりしたものになり、「なんとなくドリーム」になり……。
でも結局はクワさんに出会ってアイジャ飯を描き始め、コロッケになりそうになったりしている……と。

言えない


mobの神在月先生は「駅で作画」程度で「すごいこと」と思うほど安定して原稿ができている……もしくは、危険に巻き込みたくない。
なので、オータムと契約してからは三木さんにアシスタントをお願いするタイミングがないようです。
「三木さん以外のアシスタント」だけで仕事を回している。

そして……アシスタントの一人にトラブルがあったとしても、三木さんには「言えない」

「例の…アシスタントさんがね、……いやあ、なんでもない」

ある日、何かトラブルがあったようだった。
濁す神在月に、何か助けが必要か、と聞くと、神在月は、小さく、だがきっぱりと、
「すまん。話せないことなんだ」
と言った。

━『mob』/盆|note

これは「駅だよ駅」の発言の直後にある流れですが、これも「時系列の情報」としてみると、おそらくは316死及び第322死の後の話で、ナギリが姿を消した件に関して、ということになります。
mobの神在月先生が本編とだいぶ違う分、ナギリとの関係がどうなっているのか予測がつきづらいですが、失踪に至るまでのキーポイント(子供の頃の夢を思い出させる、カンタロウと一緒にアシスタントに入る等)は一致しているのでしょう。

ナギリが度々アシスタントとして入っていて「急に来なくなった」とあれば「アシスタントが足りない」という状況に当然なります。それでもmob神在月先生は三木さんに助けて貰おうという選択はしません

一方、本編を踏襲しているであろうアカジャでは、ナギリがアシスタントに来ない分、三木さんがアシスタントに入って神在月先生を助けているらしい、という情報が読み取れます。



「三木も来てくれるんで」という一言でクワバラさんに通じるのはそれ以前からアシスタントに来ているからですね。
BBQ執筆室に巻き込まれたりしている。

本篇の三木さんは「駅で作画」がオータム的に大したことでないと知っているし、クワバラさんと面識がある。ナギリ失踪という複雑かつ繊細な事情で神在月が頼れる相手ですが、mobではそうでない。

「トラブル」があったと三木さん側は察しているのに、相手には相談してもらえない。頼られない

mob神在月先生の選択だと、三木さんの助けがない以上は「新しいアシスタントさん」を雇わなければならないでしょう。それでは「新しく雇いたくない」という神在月先生の気持ちも叶いませんが……それでも、「言えない」

「神在月シンジとの距離の開き」
これが本編自制との違いによって強調された後、ノゾミくんとのレストランでの会食の描写となります。祖母の施設料金ノゾミ側全額負担を提案されるシーンです。

「駅での作画(184死)」と「アシさん(ナギリ)失踪(316死)」では、132話分の時制の差があります。
季節イベントの周期から考えると年単位経っている感触ですが……。
ノゾミくんが事務所を持ってから、それだけの時間分経ってやっと「全額負担」を言い出せる経済状況になった、ということでしょう。

仕送りも断られ、貸したお金も返された
神在月も、困ったことがあったとして自分を頼らない
祖母の為にお金を出すことすら必要なくなる

この流れが描写として立て続けに出てくることで、急速に三木さんが追い詰められていく感覚があります。
実際には「それなりに長い期間でゆっくり一つずつ起こったこと」だとしても、三木さんの心情は、「終わっていくサイン」ばかりを捉えていたってことになるでしょうか。
働いて働いて、何も考えないようにして、矢のように時間が経ってしまった……。


つまりこうだ

改めてマロ回答をまとめますと、マロ主さんが提示してくれた中で一番私の考えに近いのは

②無力化済の吸血鬼裏新横浜

ですね。
184死ラスト以降の時制です。


・神在月から三木に伝わる情報がオータムの実態とズレている

直後、ツイートでの振る舞いと違う「三木をナギリの問題に巻き込まない神在月」「自立した神在月」が明確に描かれる
  ↓
「オータムの実態とのズレ」も「神在月の自立」が要因


・「神在月の自立」に続き、「弟の隙のない自立」が描かれる
  ↓
分岐以外の部分に差がないなら、どちらも「三木カナエの在り方」が引き起こした結果


・『mob』の文章のテンポだと、2人の「自立」は立て続けに起こったような感覚になる。
  ↓
本編でいつ頃なのかが明確になることで、実は長い期間の中で起きたこととわかる。
  ↓
『mob』では、三木カナエ視点での視野の狭さと焦りが強調されている?


こんな感じで。
「駅」を本編との繋がりとして読むと、上記のような解釈ができます。

現状ではこの辻褄が個人的に納得いきやすいですかね。



あ、あと記事書くためにnoteと本編読み直して気が付いたんですが、

「アシスタントさんが風邪引いちゃって」のイベント、アレ神在月先生から風邪うつったやつなんですね。
157死の神在月先生を見返すと、顎にマスクをぶら下げていて、咳もしているし、彼自身こそ体調を崩しているのがわかりまして。
アシスタントが誰であろうと、あのタイミングでは神在月先生から風邪がうつって休むハメになる……
それなら、mobの神在月先生が例え何人か雇っていたとしても「全滅」ですものね。
三木さんが怪我するかどうかもランダムなのに、ナギリが来るタイミングで絶対風邪ひくアシスタント謎だな…とちょっとおもったんですが、貧弱な神先生が似たタイミングで風邪をひくって話ならわかりますし。

だから誰もいなくなってしまって、ドアの前に立ったナギリがヘルプと勘違いされてしまうって流れが確定するんだ、スゲー!となりました。
どれだけ精神的に変わったとして、貧弱は治らないってことなんでしょうね。


(ブログ拝見いたしました 本編の要素がとても理知的に紐解かれ、対比の関係も纏めてくださり本編読みたい! 要素をしゃぶり尽くしたい! になりました
ロの運転技術とメのホワイトデー記事が特に好きです)

P.S.1期2期のOPが最高過ぎて聞くたび耳と頭を溶かしているのですが、どんなテーマが来たら最高だなという希望はありますか?
個人的にはド視点のロの歌が欲しいです

https://marshmallow-qa.com/zarame94nu

おっと実は今回のマシュマロ、続きがありました。
ブログ読んでいただけて嬉しいです!理知的っていい言葉だなぁ〜☺️
私はいつも「考察読んでから原作再読してくれたらいいな〜〜〜再読せよ〜〜〜〜」と念を込めて発信しているので、本編読みたくなったと言ってもらえると天を仰いで喜びを噛み締めてしまいます。

文中の考察↓

zara.hateblo.jp
ロナルドの運転技術は、ドラルクの「運転荒いんだよ!」と先生の「運転荒くない」の矛盾から掘り下げて考えたものです。
zara.hateblo.jp

メビのホワイトデーは、メビの健気可愛さに浸りたいときにオススメ(?)です。

うーん私もどっちも好き。ありがとうございます!
未読の方はよろしかったらご覧ください。


では今回の記事はここまで!


p.s
確かにどっちか視点に絞った歌も良さそうですね。
吸死は「自分と違うもの」に出会う喜びを歌っている気がするので、アラネアさんとかミカヅキくんとか、外側からシンヨコにきた人が「シンヨコのとんでもなさ」を語る、とかもいいかも。
……意味不明な場所で訳がわからないけど、あの中心で踊っている2人が「なんかすごい!」。
「ヤバイし混ざれる気がしないけどなんか楽しそう」みたいな。ロナルドとドラルクの関係を外側から観測するテーマ、欲しいな〜〜。
あ〜〜3期きて欲しいな〜〜☺️