今回、ロナルドの運転に関するマロ*1をもらったので、その返信を含め、ロナルドの運転に関して情報と個人的解釈を整理します。
【※ネタバレ注意!漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』(著:盆ノ木至)単行本収録分/公式ファンブック1・2/作者Twitter発信情報】
マロ本文
考察とても楽しく読ませていただいております。
ところでグッマザ回とFB2と盆ノ木先生のツイートを踏まえて気になる点があります。FB2でロ君の運転を「荒いんだよ」と評したドさんに対して、先生は「若造は運転ちゃんとしています」とのツイート。この差はどこから来たのでしょうか。ちゃんとしているのに荒い運転…早く帰りたかったのでしょうか? ざらめさんはどう思われますか?
━https://marshmallow-qa.com/
マロありがとうございます!
なるほど。
マロ主さんは「ひとつの出来事について真逆の情報がある」ということで、どう解釈するか悩んでいらっしゃるんですね。
確かに、そう言われると「解釈が混乱しやすい罠」がココにはあるようです。
それは「事実」と「セリフ」の関係です。
セリフは「キャラクター個人の視点」
マロ主さんも、ご質問の書き方からして意識されていると思うのですが……。
「キャラクターの言葉」
と
「実際事実としてどうだったのか」
はそのままイコールでは繋げないのですよね。
(だからこそ、盆ノ木先生と食い違うドラルクの評から「実際どうだったのか」をどう解釈しようか迷っている、という状況だと思います)
話の順序に必要なので一応、根本的な部分から説明します。
何故「"セリフ=事実"とは限らない」のか……。
それは、キャラクター1人が「そう感じている」「そう言っている」だけだからです。
キャラクター個人が「そう主張している」、それだけ……。
推理モノだとコレを利用して、何人かに「あの人怪しいよ!」みたいな情報を言ってもらったりして、読者の思考を誘導します。
その場合、「何人かに怪しいと言われている」のは事実ですけど、その「怪しい人」が事件の犯人かどうかは確定しません。
ミスリードかもしれないし、「ミスリードかも?」と思わせるミスリードかもしれません。
この「セリフは事実とは限らない」というのは、普段作品を読んでいる間はそこまで意識する必要はないと思っています。
「思考を素直に誘導される」のも、読者の嗜みですので……。
ですが、わざわざ「矛盾した複数の情報があるぞ」という場合は、意識して視点整理すると解釈しやすくなりますね。
今回の場合は「ロナルドくんの運転」に関して
「ドラルクの評」
と
「盆ノ木先生の補足」
が真逆のことを発しているので……。
ここはまず、「ドラルクの評」がどれだけ信頼に値するのか、から考えていったほうが良さそうです。
ドラルクの評
FB2のロナルドくんの運転に関する記述(ドラルク評)は以下です。
・ロナルドさんが運転する車に乗ったことがあるそうですが、乗り心地は?
荒いんだよ、あいつの運転!集中力なさそうだからドラちゃんヒヤヒヤしどおしであった。シートベルトって死ぬととれちゃうから不便だよね。
━吸血鬼すぐ死ぬ公式ファンブック週刊バンパイアハンター特別創刊号2
ご存知ない方もこの記事を読んでいるかもしれないので付け加えておくと、この内容は、12巻のアカジャ(アカウントジャック)のツイートが元になっています。
◯:ヌヌイヌヌ ヌヌイ
— (アニメ吸血鬼すぐ死ぬ2配信中!)盆ノ木至(25巻発売中!) (@bonnoki) 2019年4月14日
ΘゞΘ:荒いんだよあいつの運転!集中力なさそうだからドラちゃんヒヤヒヤしどおしであった シートベルトって死ぬと取れちゃうから不便だよね
◯:ヌヌヌヌーヌヌヌイ
ΘゞΘ:マジロシートがなかったのはレンタル忘れたロナルドくんの重罪だ パクられなくてよかった#12巻盆用 https://t.co/yVHDGa7h7D
FB2だけだとちょっと掴みづらいですが、そもそもが、145死の誘拐騒動の直後に車で帰った時の感想なんですね。ここは共有しておきましょう。
では、この感想が「どれだけ信頼できるか」を考えていきます。
1つ目のポイントは、「運転を評価するだけの基準をドラルクが持っているのか」?ですね。
例えば「車の運転についてかなり知識がある」とか、
「荒くない、乗り心地の良い運転がどんなものか経験している」とか。
はたしてドラルクには、車の運転に関する「知識や経験」があるのか……?
知識や経験。知識や経験……?
……
な、なくないか…………?
車に乗る機会
要は、「ロナルドの運転」と比較する「ロナルド以外の運転」を経験していればって話なんですが……。
シンヨコだと必要ない
まあ基本新横から出ないですし。
新横から出る時は電車を利用しているようなので、車に乗る機会自体極端に少ないのはありますよね。
ドラルクが新横外に用事ある時も大体電車で行ける都会っぽいかな。
新宿に映画を見に行ったり(180死)はしてました。
車で行く用事があるとしたらロナルドが依頼を受けた場合ですが。
それってやっぱり「若造の運転」ですからね……。
「若造の運転」を評価するには比べる材料にする為に、「若造以外の運転」のことを知らないと。
それも、同じくらいの大きさの乗用車に乗った経験じゃないと、単純に比較対象にはしにくいですが……。
ウーン、やはり「新横にいるとあんまり比較対象に恵まれない」ですね。
では、「新横に来るまではどうだったのか」。ですが……。
シンヨコにくる前
結論から言うと、「有ってもあんまり意味ない」です。
何故なら、「荒い」つまり「乗り心地がいかに良いか悪いか」という話をするなら、
どうかんがえても現代の方が「車体に使われる技術」が向上しているので。
確かドラルクは、新横にくる直前は埼玉の城で引きこもり生活をしていました。
ジョンは穴掘り遊びが好きですし、ドラルク自身も城の外を散歩するくらいのことはしていたようですが……。
「ネカフェ」の存在を知りながら行ったことないようなことも言っていたので(18死)、現代の人間社会に直接触れるような外出はしたことなかったのでしょう。
だとすると、車に乗ったことがあるとしたら「埼玉の城に住み始める前」になります。
FB1の70pによると、ドラルクが日本に来た時期は「世界大戦後しばらく経った頃」とのこと。まあ50年以上は埼玉に住んでたと考えるのが自然でしょうか。
そうなると、「ロナルドの運転」と比べる対象が「50年前以上の車」の経験になってしまいます。
そこまでの年代差があると
運転の荒さの前に、車の性能からいって「昔の方が荒く感じる」はずなんですよね……。
本当に発明されたての最初期になると、「空気入りタイヤ」すら使われていなくて、乗り心地ガッタガタだったでしょうし。
大衆化されてきてからも、結構運転と関係ないマシーントラブルで危険な事故もあったみたいです。ハンドルが何故か逆に回って骨折したりとか(!?)。
そしてもうひとつ、一族の庇護下にいる際には、車は「移動手段」として選択肢に入らないだろう。ということ。
車を移動手段として使う場合、致命的な問題点があるからです。
人間の使う道を、人間のルールを守って利用する必要がある。
渋滞。
信号。
速度制限。
そして、車自体の「速さ」の限界。
そう……遅すぎるんです。車ってやつは……。
そんな自動車の「遅さ」を見て、古き血の吸血鬼ヴェントルー・ブルーブラッドは嘲笑したことでしょう。
彼の最高速度は「音速をはるかに越えた超スピード」。FB2にもあります。
正直、
「飛行能力のある吸血鬼」は車に乗るより自分で飛んじゃった方が速い。
これはもう、否めません。
渋滞も駐車場も道交法も関係ない。都合が良いんだろうと思います。車で行けるような距離なら。
ドラウスは「何をするにも二番手」とのことでしたから……(FB2/86p)
ヴェントルーほどじゃないにしろ、速く飛べるのでしょう。
本編の描写を見ると御真祖様もミラさんもノースディンも、飛んで移動していますね(70死/144死/155死)。
ドラルクを見守ってきた面々が大体「飛んで移動」が当たり前のようなので、ドラルクが移動するならそれに便乗して運んでもらうのが自然でしょう。
91死の腰ギックリドラウスの時に「ゴルゴナに電話して車出してもらってくれ〜」という台詞もあるくらいなので、ゴルゴナおばさまは運転できるようですが。
ちょっとした負傷で車を出してもらうだけなのに「妹に向こう百年揄われる」みたいな認識なので、普段なら「ありえない」事態なんだろうな……。
車の経験があるとすれば……移動手段としてでなく、遊びとしてなら。もしくは。
というところですね。
御真祖様の好奇心も手伝って発明された時・新しいものが出た時にー族と一緒に試したり、もしくは真似して作ったりした可能性は、なくもない。
ですがまあ、先述したように「若造の運転の荒さ」を評価する参考にはならなかったんじゃないかと思いますね。
経験値的に言うと
ドラルクには「若造の運転の荒さ」をどうこう言うだけの経験値は多分ない。
です。
新横では車にめったに乗らないし。
新横に来る前の経験は参考にならないし。
オータムに行くのもメイデンか亜空間だし。
じゃあ知識の方はどうなんだってことになりますが。
これも、ないですね。
運転についての知識
まず免許持ってないですし。道交法とかもよくわかってないと思います。
【ドラルク】
レースゲームメッチャ上手いので「運転免許も余裕、いつでも取りに行けますよ」と本気で思っているお花畑おじさん。
━「吸血鬼すぐ死ぬ」18巻/柱情報:第213死
↑で知識がないのもよくわかるんですが、一番重要なのは『自分は運転に関して無知だ』という認識すらないところ」ですね。
こういう自覚がないのが、一番「適当なことを言っちゃえる」状態だと思います。
あとですね、そもそもドラルクはちょっと…。
「レースゲームできる=運転できる」のように、聞き齧っただけで調査や経験を積んでいない物事について、勝手に本気で「わかった風」に言うところが有るようなので。
特に人間社会に必要なスキルの話なんかだと、あんまり実感の籠ったコメントじゃないんだろうな……というのは、全体としてありますね。
事務所や新横で生活する上で必要な物事は、段々と学んできたでしょうけれども。
運転に関しては必要ないので、145死時点でも全然わからなかったのかと。
「無意識の決めつけ」か?
じゃあつまり、ドラルクは「車に乗ること自体に慣れてない」から……。
「慣れてないせいで、そこまで酷い運転でもないのに荒く感じた」のかな?
て見方になるんですけど……。
いや、もうここで「結論!」ってしても全然おかしくはないんですけど。
ここは……、もうちょい踏み込みたくなっちゃいますね。
それというのも盆ノ木先生の補足の文面がアレ。
なんかすごいハッキリ断定調で事実提示してきてるので。
ロナルドが「素人にもわかるようなミスらしいミスをちょこっとだけする」とか……そういう隙があったかすら、怪しいんですよね……。
どっちの問題か
盆乃木先生がアニメの「グッドマザー・グッドバイサマー回」放送時に呟いていたツイートがこれですね。
若造は運転ちゃんとしています 教習所で見た事故のビデオがトラウマになったので#吸血鬼すぐ死ぬ2
— (アニメ吸血鬼すぐ死ぬ2配信中!)盆ノ木至(25巻発売中!) (@bonnoki) 2023年1月30日
すっごい断定してくる。
先生のツイートのキャラに対するコメントって「〜だろうか」みたいな予想っぽい言い方もよくある中で、すっごい断定してきてる…。
「若造がちゃんと運転してないわけないでしょ。
だってこの子教習所のビデオがトラウマになってるくらいだもん。」
みたいな。
そんな言い方はしてないんですけど、此方が勝手にこういうニュアンスを受け取っちゃうくらいには。もう。
23巻(+FB2)のアカジャでもロナルド自身が「運転荒くない」って言ってますしね。これ、FB2の内容に関する言及ですから、ドラルクの「荒いんだよ!」発言への反論ってことだと思います。
ロナルド:俺の運転荒くねえよ!路駐の車避ける時もちゃんとウィンカー出すもん!ていうか退治人は運転荒くねえよ、退治人が違反して切符切られたとかアレだし…。クソ砂が死にすぎんだよ、あいつ殺さない運転コップの水をこぼさねえでカーブするより難しいって#23巻盆用 #吸血鬼すぐ死ぬ https://t.co/q6Q2zepFZJ
— (アニメ吸血鬼すぐ死ぬ2配信中!)盆ノ木至(25巻発売中!) (@bonnoki) 2022年12月8日
↑を見てから、
「ドラルク経験値なさそうだし、ロナルドくんのが事実に近いこと言ってるのかな…でも騒動後だったから落ち着かなくてちょっとミスしたりして、そこをドラルクがワーワー言ってるのかも?」
なんて考えてたんですけども。
その後「ちゃんと運転しています」ツイートで先生のハッキリした見解を頂けたので、もう此方としては完全にアレですね。
ドラルク側の問題
だと思っています……。
というかよく考えたら、焦ってドラルクを探してる最中ならまだしも、既に車に乗せてる段階で慌てて荒い運転して死なせる意味とかないので、基本的に丁寧な運転をしてたんだろうな〜と。
今なら思えます。
トラウマから緊張感を持ってウィンカー出す所まで気を遣ってる運転手の些細なミスを、ドドドド素人のドラルクが見抜いて指摘してたと考えるとやっぱ妙ですし……。
「シートベルトって死ぬととれちゃうから不便だよね」の発言がある以上、走行中に死んでたのは事実だと思います。
この方向で考えていくと、
運転してた本人が言うように、ミスもしてない意味不明なタイミングでドラルクが勝手に死んでた可能性が高いですかね。
それをドラルクが「若造の運転が荒いから!」って言ってたんじゃないかと……。
原作者がロナルドくんの方に加勢しちゃいましたしねぇ…。
で。
そうなってくると今度は、
ドラルクが走行中に勝手に死んじゃった原因ですよね。気になるのは。
ポイントは、あの「ヒヤヒヤ」でしょうか。
*1:マシュマロ。匿名メッセージサービス