考察キッチン

KOUSATSU-KITCHEN

【感想】UNDERTALEをキメました①

『キマってるんだ。コイツは”キマってる”やつなんだ……』

某年某日某所。
筆者は、とてつもなくキリッとした顔で、かつてない勘違いをしていた。

噂の神ゲー『UNDERTALE』を、『キマってるやつの物語』だと確信していたのである。




※UNDERTALEの全ルートネタバレ(予定)
※2022年1月時点において”ほぼ”初見(ほぼ、の部分については後述)
※本編プレイ後の筆者が、自身のプレイ映像を見つつ振り返る形でその時の心情を書き散らします


キマってるやつの物語


キマってるやつ、とは何か?
例えば『覚悟』であったり、『哲学』であったり、『己の感性』であったり……。
その辺の諸々を自覚し、信じ、”キメてる”やつのことである。

簡単に言うと、『トロッコ問題』に迷いなく答えを出せるタイプ

【トロッコ問題】
暴走したトロッコが進む線路の先に大勢の人々が倒れている。バーを倒せば線路が切り替わり別方向に誘導できるが、その先の線路上には誰かが1人倒れている。バーを倒して1人を殺し、大勢を助けるか?そのまま放置し大勢が轢き殺されるままにするか?という思考実験。


ロッコ問題は思考実験なので、正式な答えはないし即座に答えを出す必要は全然ないのだが、キマッてるやつは一味違うので、どっちを轢き殺すか決断できるし実行できる。

並の精神なら躊躇い迷うところを一歩踏み出せてしまう。

それが他者から見て「善い」か「悪い」かは当人には結構どうでもよくて、自分の「覚悟」や「哲学」や「感性」に叶うかどうかを基準とし、行動する。

それが『キマってるやつ』である。


筆者は、UNDERTALEの主人公を”それ”だと確信していた。


いやだって。


トリエルさんを斬りつけるなぞ、”キマってるやつ”しかできんでしょうが!?!?

※このとき筆者はトリエルさんを殺さないとストーリーが進まないと思い込んでいます。

何故こんなことになるんだ。
こっちは本当に怖かったんだよフラウィが。
あんなに無垢にチュートリアルだと信じたのに!!




『バカだね(クソデカフォント)(文字震わせ)』


だぞ。

歯ぁ剥き出しじゃん! は!?!?こわいでしょうに。
そういう怖いところを、トリエルさんが助けてくれたわけだっていうのに……。

こここ、コイツ、斬りつけたぞ。命を奪ったぞ。ええええええ???

なに??スゴ!
何ものだ、コイツは。



筆者は、「倒すか倒さないか選べるゲーム」という触れ込みだけを携えてプレイしていた。
その為、フラウィとトリエルさんの事を、その2択を象徴する存在のように感じたのだ。

『殺意』としてのフラウィ。
『優しさ』としてのトリエルさん。

主人公はその概念の間で揺れ動き、選ぶことになるってワケ……なるほどね!!そう解釈した。

それなのに、いざトリエルさんとの戦闘になった際、「にがす」が使えなかった。
※使える。

絶望した筆者は、「殺さなくていいゲームじゃなかったの……?」と半泣きになりながらトリエルさんを斬りつけ、打ち破った。

は、話が進んだ。これが正規ルートか!?ナンデ!?

確かにトリエルさんは……小さな子供を遺跡に閉じ込めようとする様子は怪しげっちゃ怪しげだ。だがそれでも斬りつけて殺っちまうのはヤベ〜ではないか。騙されてることを疑うにしたって、そんな躊躇なく攻撃できるか??どうして……?
それが”できる”主人公って何者だよ。
只者じゃないよ。

しかもその後こわい雰囲気の森を抜けなくてはならないし、明るい骨兄弟に出会ったと思ったら最終的に無垢でかわいい弟骨と戦闘になるしでもうコワすぎた。びびりながら戦闘を進めると骨は倒さなくても良いとわかったのでホッとしたが。

しかしそのお陰で、尚更「トリエルさんは避けることのできない犠牲だったのだ」という認識が強くなってしまった……。

骨が逃がせるのにトリエルさんはダメって、主人公的に本当にやむを得なかったってことじゃん。堅い決意で立ちはだかったキャラは(たとえどれだけ『倒したい』と思えなくても)絶対に倒さなくてはならないってコト!?

そして主人公はそれが成し遂げられるのだ。
それほどまでに家に帰りたいと強く思っている

……なんてことだよ。


「キマってんだな……そこまで、覚悟が……」
(額を抑えるポーズ)



主人公は2つの概念から「選ぶ」んじゃない。
「始まった瞬間から既に決めている」んだ。

もう完全に、「主人公の強い意思」をプレイヤーたる私が「なぞらねばならぬ」……そういう圧をビシビシに感じていた。

『倒すか倒さないか選べる☆』とか言っている場合ではない。

フェイクだ。選ばされるんだ、プレイヤーは……!


思わぬ「キマってる系主人公」っぷり。よくわかったよ、これはちょっと時間を置いて気分をつくるべきかもしれん。そういうの好きだけど、好きだからこそちゃんと入りこんでいきたいからな。

筆者は一旦ソフトを中断した。


それから時が流れ……
衝撃の『キマってる系初見』から数年が経った(!?)。
嘘ではない。なんやかんや年単位で時がすぎていた。

 

”ほぼ”初見の楔


もう正直プレイ再開するタイミングを逸していたのだが、2022年某日、ひょんなことから一先ず通しプレイする必要に迫られた…。

その際「どうせ序盤だったし」という訳でニューゲームを選んだが、ここで問題がある。

筆者は「キマってる系主人公」という印象を、しっかり覚えていたのだ。当然フラウィとトリエルさんのことも覚えている

出会い頭にフラウィの仲良しカプセルを避け、ハハン!と渾身のドヤ顔を披露したし、助けに来てくれたトリエルさん、くどかれて照れるトリエルさんを前にして、「うわああ〜;;こんなにかわいいひとをこの後……!」と涙ぐんだ。もはや、トリエルさんを斬りつけることは「避けられない運命」……。

<トリエル>
*「おうち」に かえる ほうほうを しりたいのね?

筆者「なんかそうみたいですね……この子は”そう”みたいです……自分は別に……」

<トリエル>
*どうしても でていくと いうのね…

筆者「う〜ん、そうみたいですね……自分はべつに……ここにいてもいいんすけどぉ…」

しかし少年がキマっている一方(?)、筆者は全く潔くない。トリエルさんに確認される度、めちゃめちゃグダグダに言い訳していた。殺ることは決定しているというのに。

心情だけ言えば、助けられておいて食事の席にも顔を出さず、疲れてるからって寝るだけ寝ておいて間髪入れずに「帰りたい」などと……、その上、あの優しげなトリエルさんを傷つけるなど、あまりに、あまりにもである。完全初見ではなかった分、余計にその展開の流れをハッキリ認識してしまい、「は?」と思った。口にも出した。

けど、彼にはそれだけの「ケツイ」があるのだ……。
数年前は気にしていなかったけど、セーブポイントのメッセージに出てくる「ケツイ」ってそういうことでしょ?

どんなもの見てもケツイみなぎるじゃん、この人。

お、落ち葉をカサカサした程度で!?
ネズミが穴を出てチーズを食べるかもって思っただけで……??
無尽蔵にケツイみなぎるじゃん。そのケツイを砕くことは誰にもできぬじゃん。

分かった。分かったよもう。私もキメようじゃないか。
ぐだぐだ言い訳していたが、結局トリエルさんは倒すしかなかった……。

ならば、トリエルさんのようなモンスター以外は。どうしても戦う意思が固く、逃がせないようなモンスター以外は逃そう。そういう方針でいこう。

「みのがす」を選べるようなら選ぼう。

一度決めたら変えるなってカエルさんも言ってたしね。
そういうことでしょ!?カエルさん!!!

(違うケロ…)


【スノーフル編に続く】

 


【感想】UNDERTALEをキメました②