考察キッチン

KOUSATSU-KITCHEN

【感想】UNDERTALEをキメました②

『キマってるんだ。コイツは”キマってる”やつなんだ……』

某年某日某所。
筆者は、とてつもなくキリッとした顔で、かつてない勘違いをしていた。

噂の神ゲー『UNDERTALE』を、『キマってるやつの物語』だと確信していたのである。



前回までの記事はコチラ↓↓
【感想】UNDERTALEをキメました①

※UNDERTALEの全ルートネタバレ(予定)
※2022年1月時点において”ほぼ”初見
※本編プレイ後の筆者が、自身のプレイ映像を見つつ振り返る形でその時の心情を書き散らします


キメてもゲームは下手だった

さて、二度目の初見プレイ(?)で再びトリエルさんを”殺っちまった”筆者は、その時点で「どうしても逃がせない敵以外は逃そう」という決意を固めた。

正直、あの場面でトリエルさんに刃を向けることが出来る心情自体”キマりすぎている”ので、もしかすると筆者の方針では本来の主人公が選ぶであろう道と違える場面もあるかもしれない。
だがそれはもういい。大事なのは自分で納得して選ぶことである。キマっている主人公と共に歩むには此方もキメていかねばならん。
※このとき筆者はトリエルさんを殺さないとストーリーが進まないと思い込んでいます。

ということをキリッとした顔で考えていたら、遺跡を出る前にフラウィに著しく不穏なことを言われた。

<フラウィ>
*じぶんの したことに まんぞくかい?
*ま ふまん だとしても うんめいを かえること なんて できないけどね。

なんだよ!!(小峠)
貴様こそ満足か?トリエルさんを殺っちまったところを見て満足か!?もう知らん知らん!勝手に満足してたらいいんじゃ。決めたんじゃよ、儂は。
そもそも儂はネタバレを全力で避けているから攻略も見とらんのじゃ。何をしようが自分の判断しか頼れんと悟っている。そうじゃろ、婆さん。

よって貴様の言葉には心揺らされぬ。(キリッとした顔!!)

それに筆者は、数年前の詳細な感想は紛失してしまっていた。フラウィとトリエルさんの序盤の振る舞いと、骨が何かイイ奴だったことしか覚えていない。小ネタや台詞回しなどはまっさら記憶リセット状態である。

後は、「イイ骨(パピルス)を殺さなくてよいこと」は覚えていた。
これは僥倖である。数年前は骨とのバトルが本当に怖かった……。好感を持った相手に限って倒さねばならんのか!?と戦々恐々としていた。けれど今回はビビらなくてもいい!嬉しい!

これぞ微プレイ者の余裕……!ぐはは!悔しいか?フラウィよ、楽しそうな私を見て悔しいか〜??🙄
ンフフ〜ン!

そんな訳で筆者は、『遺跡→スノーフル』間の道のりをとてつもなくエンジョイした。

丁度良い形のランプは感動的に丁度良かったし、ニンゲンに気がついたパピルスがタービンのごとく高速回転する様は極めてニコニコしい。とうめいビリビリめいろで正解をうっかり教えてしまうパピルスはダントツで愛らしく、クロスワードのマスを全部「z」で埋める理屈は完璧にクレイジーキュートだ。自動生成パズルがただのピンクカーペットと化し、無言で回転式退場するのも趣深い。
嘘が絶対つけないところもマーベラスだ。
スパゲティに夢中になって先に進めない謎罠自体も愛しいのに、書き置きに「(きさまはしらないだろうが、これはワナだ…)」と全部書いてしまうのはトガりすぎである。刺さる。
そんな弟を想う兄サンズの台詞も合わせ、和みに和み渡ろうというもの。

パピルス
オレさまみたいにイケてるおとうとがいなかったら、兄ちゃんはどうなっていたことか…

「ホント、アンタ最高だよ…」
口に出して言った。
一緒に先に進もう!と言ってくれた時はズッ友を感じ涙腺にきた。”オレさまの顔の形パズル”を解く時、画面から見切れないようにスッ…と移動する様も大変良い。見切れないのはイイ事だ。

他にも、オワライチョウのギャグで笑うタイミングをミスったり、ヒョー坊の帽子を褒めて増長させてしまい「は?」となったり、ゆきモフに脳を支配されたりなどした。

【ゆきモフに脳を支配される】
「これはゆきモフだ。」と言われた瞬間は「なにそれ…」と思ったのに、最終的にゆきモフを全て調べ終わった際「これは なんだろう?」などと抜かされて「ゆきモフでしょ!?」となったり、無性に悔しくなって「ゆきモフって言ってよ!!」となること。


イヌッサとイヌッスに出会って「"イヌどうしの けっこんに ちゅうい"じゃん!?」と感銘を受けたりもした。
スノーフルは可愛い街だ。うさぎがうさぎを散歩してるし、横縞は子供の服だと知ったし、としょんかにはマイクワゾウスキーがいる。本を読んでいたら途中からサイっぽい人が語りかけてきてビビったし、ムキムキの犬は氷を投げて川に流す虚無な職務を全うしている。可愛い街だ。いぬ。

そしてスノーフルの街の終わりに立ちはだかるパピルス……!!ふふ、今回の私は君を殺らんでいいと知っている。待っていたまえ。目下の課題は、どうやってそれを成し遂げたのかをさっぱり覚えていない事だけである(キリッとした顔)。

ふむ、とりあえずくどいてみよう。デートの約束をGETした。良い展開だ。あとはこの戦闘を終わらせるだけ。

しかし筆者はアクションゲームがド下手くそなので、骨攻撃にあたりまくって「ジャンプしろって!もうっ…」と怒られてしまう……。すまない、私も頑張っているんだ!めちゃめちゃ避けようとしているんだ!でも端から見たら、なんか当たりに行ってるみたいな動きになってしまう。満身創痍。

筆者がアクションゲーに苦戦する間にも、パピルスは耳の裏に様々なものを塗りたくっている。イケメンクリームからジュース、トマトソースにスライムまで、耳の裏に一点集中のドカ盛りである。盛りすぎてパフェみたいになっていることだろう。
ところでスケルトンに耳はあるのだろうか?ふと疑問が過ぎるが、ここは此方の常識で図るべきではない。作品世界に入り込むコツは素直さだ。きっとあるんだ、この世界のスケルトンには……。

パピルスは じぶんには みみが ないことに きづいた。

ないのかよ。無闇に気を遣ってしまっただよ。

しかしそれはさておき、「みのがす」にしても「たたかう」にしても、全く進展を感じない。ド下手くそアクションのせいでジワジワHPが削られていくし、試しにやってみた攻撃は何故だか通っていない気がする。ドンピシャ真ん中で押しているというのに……?そして普通に負けてガバガバの牢屋に放り込まれてしまう。
ちなみに後から気が付いたのだが、このとき筆者は武器を一切装備しておらず、そのせいでどんなに攻撃してもダメージ0だったようだ。こんなスットコドッコイなことがあるか?

ということで3回連続で敗北を喫した。さすがのパピルスも「めんどくさくなってきた!」と疲労を見せ始める。私もだ。本当に疲れた。どうやら捕まえるのをやめてくれるらしい……。
しかし、数年前はこんな方法だっただろうか?もうちょっと話がはやく済んだような気がするが。まあいい、大事なのは結果だ。

パピルスが刺してくる

スパゲティの謎罠かきおきからもわかるように、彼はびっくりするくらい偽れない骨だ。そこが間抜けな印象をつくるのでうっかりスルーしてしまった瞬間もあるが、彼は主人公に出会って、とても重要な選択をした。

「自分の願いを叶えること」と「主人公の気持ち」を天秤にかけたことだ。

最初「ロイヤルガード」と言われてもなんのこっちゃという気分だったが、それが「夢みてきたもの」で、”やっとのことで出会ったニンゲン”こそが「叶えるチャンス」だと言われると言葉に詰まる。

だって、主人公だってトリエルさんを犠牲にしてここにきている。「自分の願い」を叶える為に、「憎んでもいない誰か」を犠牲にし、失い、それでも進んだ訳である。

そんな主人公が「出会ったばかりのニンゲン」と「叶えたい望み」を天秤にかけるパピルスを否定できるだろうか?否だ…。

どうにか殺らずに済ませたいが為に、くどいたり見逃してみたりと色々試行錯誤はしたが、正直「望みと望みのぶつかりあい」だと考えると、正面から戦うほうが返って誠実なのでは?とすら思える……(ただし、武器は装備し忘れている)。

けれどもパピルスは、そんな戦闘狂みたいな葛藤とは別次元なのだ。

<パピルス>
きさま…
オレさまのかおを、みたくてみたくて、しかたないんだな…
そんなふうに おもってくれてるヤツと、たたかうわけにはいかないよ

パ、パピルス……!おまえってやつは。
自分の望みではなく、相手の気持ちをとった。優しい。君は優しすぎる。

やめてくれ。その優しさはトゲとなり、俺の胸に刺さって傷をえぐる。だって、だって俺は……!俺は、トリエルさんを……ウオオオ……😭
※このとき筆者はトリエルさんを殺さないとストーリーが進まないと思い込んでいます。

だがいくら抉られたとて、此方にもキメた方針がある。「倒さないで済む活路」が見えた相手とはちゃんと穏便に済ますのだ。それが俺なりのトリエルさんへの誠実さだ……。

主人公相手に戦えない、と感じてしまったパピルスはとてもしょんぼりである。こんな弱い相手も倒せないなんて、ロイヤルガードにはなれないし、友達の数も増えはしない、らしい。どうしたってんだ。あの理不尽なポジティブシンキングはどこへ行ったんだ。

……でもそうだよな…。

どうしても叶えたいことをずっと頑張ってきて、もう二度と巡ってこないようなチャンスがあって、それを逃してしまったらさ……。

手の中をチャンスが擦り抜けていく感覚は、嫌なものだ。だって、”運は良い”んだ。運が良いお陰でさっきまで、この手の中に有ったんだものな。だったら”モノにできなかった”のは、単純に自分の行動のせい

ああもう、こんなこともできないのか。
こんなに恵まれて、失敗するのか。

自分なんて全然ダメだって思っちゃうよな。それがどんなに理屈として繋がらない事項であっても、あれもダメだこれもダメだって気分になっちゃうんだ。本当に望んでいたことであるほど、「できない」と判断するのはつらい。ああ、わかるよ……。それだけの決断を君はしたんだね。
わかるので、「ともだちになろう」を選ばざるを得ない。あのションボリを前に「ともだちになろう」以外を選べる人がいたらメンタル強すぎである。

結果パピルスは即座にウキウキになり、デートの許可をくれた。さらに今後彼は「ダメダメなパズルをやらせ、バトルをする」という方法で友達をつくるらしい。ヤバそう。立ち直りの速さに圧倒される間に骨は、ウキウキ退場の舞でフレームアウトしてしまった。

うーん、理不尽cute…!

というか君、パズルがダメダメな自覚あったんだね。


【ウォーターフェル編に続く】

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